音楽療法士の資格

「音楽療法士」認定制度があります。

現在、日本には音楽療法に関する国家資格制度はありません。

日本音楽療法学会による「音楽療法士」認定制度があります。
その認定要件として、学会ホームページには『学会認定の音楽療法士の資格は、学会が音楽療法士養成校として認定した大学・専門学校などを卒業して学会認定音楽療法士(補)の資格を取得した人、及び海外で資格を取得した人が、規定の臨床実績後に資格取得のための面接試験に合格することにより取得することになります。』 とされています。
日本音楽療法学会の「新認定制度」が2011年4月に始まりました。

認定はあくまで、対象領域の専門性を有していること、いわば必要な条件の一つをクリヤーしていることを学会から認定されたということです。さらに大切なのは人間を理解し適切に接するという資質だと思います。




音楽療法士の資質

音楽療法は、利用者(クライエント)自身の生きる力(エンパワーメント)を大切にし、生きる意欲を喚起します。そこではクライエントと援助者(ワーカー)との人間関係が基本になります。

したがって音楽療法士はカウンセラーと同じく、人間が理解できることが必須といえるでしょう。カウンセラーの第一人者は次のように述べています。

◆カール・ロジャース(米国の臨床心理学者)

カウンセラーの第一の資質は、人間関係に対して敏感な人であろう。他人の反応に対して鈍感であったり、自分の言ったことが他人を愉快にさせるか不愉快にさせるかが分からなかったり、自分と他者間に存在する友情や敵愾心に気づかないようならカウンセラーには向いていないであろう。

[Counseling and Psychotherapy]

◆河合隼雄(分析心理学者)

カウンセラーといってもいろいろなタイプの人がいて、皆自分の長所を伸ばしてやっているので、そう簡単にこういう人はなれる、こういう人はなれないとは言えないが・・、

カウンセラーになりたいと思っている中で一番困る人は、自分に問題があるのに自分の問題はたなあげにして、人を救おうと思っている人です。自分は健康で自分はすばらしいから、誰か困っている人を助けてあげようという気持ちでは、カウンセリングはできません。

[カウンセリングの実際問題]

◆松井紀和(日本臨床心理研究所長)

療法として音楽をもちいる場合、通常の演奏活動とは異なり、以下が必要とされる(松井、1995)。

@生命・ひとに対し感じ、知り、分析する力をもっている
Aひととの関係を対等とし、共に生きようとする感覚を持ち合わせている
B音楽が好きで、音楽のあり方やスタイルを工夫する能力をもっている
C音楽そのものに対する研究を深め、判断する力と洞察する力が使える
D目標を達成するために目的意識を持ち、具体的に他専門職者に同意を求め、意見を受け入れるだけの知識を得ることと、その活動ができる
E音楽のもつエネルギーや音楽のメッセージ性を分析し、反応・表現との照準ができる能力がある
F音楽の演奏力と療法的技能の両方の能力がある事と、それを磨く意欲がある事

こうした、基本的資質について、自己点検することが求められます。




音楽療法士に求められるスキル

(1)音楽療法を実践する方法の知識とスキル

 ・音楽と療法との関わり
 ・病気に対する認識
 ・プログラムの立て方
 ・効果測定と評価について

音楽療法は目的を明確にし、それに応じた適切な方法を実施し、その結果を見直すことが必要です。その為には、体系立てられた取り組みが出来るスキルが求められます。
効果の確認にあたっては、対象者のできばえ(たとえばセッションのときに気分が乗っていたかどうか)のみを評価するのではなく、実践した音楽療法の適切性をはかり、療法士がそう評価した際の自らの心理状態を把握することも大切です。

(2)他人を理解するための知識とスキル

 ・傾聴する態度
 ・他人に寄り添う姿勢
 ・行動様式の理解
 ・時代背景の認識

他人とは、クライアントのみでなくご家族や他の療法士やワーカの方々を含めて理解することが大切です。効果的な音楽療法を実施するには、他の療法士や施設職員の方々との相互理解と協力が欠かせません。

また、他の音楽療法士や音楽療法の方法との良しあしの比較は慎み、お互いの良いところを認め、高めあうことが求められます。

(3)音楽を演奏するための知識とスキル

 ・楽器演奏スキル
 ・表現力、リズム感
 ・楽譜の読み書き
 ・多様な音楽ジャンルの知識

音楽のことをよく知っていること、そして音楽を演奏するスキルは必要ですが、演奏のプロである必要はありません。音楽を演奏することが目的ではなく、音楽を利用してケアをすることが目的なのです。
音楽のことをよく知った上で、療法となるために必要な工夫をして使うことが、大切な条件となります。また音楽のジャンルにこだわらず、音楽全般が好きでなくてはなりません。





MAPの会員です。

学会認定音楽療法士、音楽療法士を育成する学院の教員・学院生、施設職員、ご家族の方など、多士済々です。何ごとにも負けず元気に活動しています。


◇日本音楽療法学会認定音楽療法士
◇コロラド州立大学NMTアカデミー国際研修終了
◇コロラド州立大学NMTフェロー取得
◇日本アディクション看護学会 正会員
◇精神科作業療法協会 正会員
◇SST協会 トレーナー 正会員
◇日本笑い学会 正会員
◇日本音楽心理学音楽療法懇話会 正会員
◇体感音響振動療法セラピスト
◇サウンドヒーリング協会 正会員
◇社会福祉士
◇介護福祉士
◇作業療法士
◇ケアマネージャー
◇ヘルパー
◇デイサービス施設長・職員
◇リハビリテーション学院講師
◇音楽教室講師
◇オーケストラで演奏活動に従事